浮世絵とれびあ
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初摺・後摺・後版の違い

初摺とは?

最初に摺られたものを指す。通常は200枚程度。最初の版は絵師も色やぼかしを指示、確認する必要があり、丁寧に摺られている。また、木も彫ったばかりのため、線が細く綺麗である。

後摺とは?

版元は初摺版で売り上げの見込み判断し、増刷指示を行う。広重の人気作の場合には10,000部程度、摺られたと考えられている。短時間で大量に印刷をする必要があるため、版木がズレたり(白抜けとなる)、木が摩耗して、線が不明瞭になってくる。そのため、後半の摺りは作品価値が低下する。また、後版は絵師の手を離れており、簡略化(手抜き)されることが多い(例:色数が少なくなる、ぼかしや胡粉が割愛される)。

初摺作品と後摺作品の違いに関しては、インターネット上にて、広重の名所江戸百景を中心に多数、解説されている。

後版とは?

後版とは、オリジナルの版木の一部が紛失したり、損傷したり、あるいは、客からの要望を踏まえて、構図を微妙に変更して、一部を変更したものである(最も有名なものは、広重の東海道五十三次の江戸日本橋で、後版では賑やかさを出すために、人が大幅に増えている)。いずれの場合にも、オリジナル版木は全てではないが、使用されている。そのため、後版はオリジナルと同等に扱われるが、経済価値は低下する。