国内で浮世絵の品揃えが最も豊富なのは、ダントツでヤフーオークションである。
最近ではプロ(浮世絵専門店)の出品が増えており、出品作品の幅が広がっている。しかし、その一方で、詐欺出品も後を絶たない。ここでは、ヤフオクの出品者の特徴を解説する。
個人による出品
コレクション整理や、蔵の整理などで出品されることがある。掘り出し物が出品される可能性あり。コレクターが出品することもあり、その場合は、質の良い作品が含まれる。
浮世絵専門店(実店舗あり)による出品
トップクオリティの作品は実店舗や贔屓客に販売される。そのため、ヤフオクに出品されるのは2級品以下の作品である。具体的には、絵柄が平凡、人気作品であっても、虫食いが多数ある、トリミングがきつい、着色がある、色あせが強いなどなど、なんらかの庇護のある作品が中心である。しかし、ヤフオクでは、それらのダメージの強い作品でも入札額が高騰することがある。
一般古美術店による出品(ブックオフなどを含む)
これらのお店は、大量の古品を買い取る際に、浮世絵も一緒におまけとして買取しているケースがある。そのため、専門知識に欠け、掘り出し物が出品されることがある。また、この種の店においては、復刻版を真作として確信犯的に販売することが散見され、要注意が必要。
新規アカウントによる出品(詐欺)
新規アカウントを用いて、無傷の有名作品が頻繁に出品されるが、それらは浮世絵復刻版どころか、印刷コピー商品のため、絶対に手を出すべきではない。これらの悪徳業者/個人は、特に中国のコレクターが興味を惹くような作品を出品している。トラブルになったとしても、中国からでは法的なアクションを取りにくいことを逆手にとった悪質性の極めて高い集団である。
釣り上げ行為
一部の悪徳出品者は、釣り上げを行って、入札価格を高額に誘導している。以下の場合は、釣り上げが疑われる。
- 争っている入札者が新規アカウントまたは購入履歴が10以下
- 他の入札者がついてこない
対策
- 出品者の総合評価の確認
- 出品者の過去の出品作品の入札状況の確認
- 出品作品の過去の落札相場の確認
- 入札ルールを事前に決めて、自分自身が熱くならないようにする(例:入札額の上限を、3番手の入札者の2倍を超えない、というような決まりを作る等)。
- 1年に1回程度は出品される作品の場合、深追いしない。必ず再度出品される。
なお、5-10年に1度しか市場に現れることがない作品の場合は、ある程度のリスクを覚悟する必要がある。