コレクションを開始するにあたって、収集したものが価値あるものであってほしいという想いは、誰でもが目指すものである。例えば、希少性の高い作品、珍しいシリーズ、有名なシリーズ等。
浮世絵は数百万枚は現存すると考えられており、テーマや目的を決めることなく、総花的に浮世絵を収集しても、コレクションとしての価値が高まることはない。
一方、有名作品はすでに高額になっており、それらの収集は、経済的にかなり余裕がない限りは、早晩、シンドイことになる。例えば、葛飾北斎の富嶽三十六景の場合、全36枚を収集するには、2億円でも全然足りない。
また、北斎や広重の風景画に関しては、有名なコレクションが複数あり、しかも貴重な初刷品で全てが揃っている(太田記念美術館、日本浮世絵博物館、平木浮世絵財団)。そのため、これから収集しても全く敵わない。一般論として古典的なコレクターは、北斎や広重の風景画は一通り収集しており、春信、歌麿、写楽のコレクターもいる。
風景画以外では、国芳の猫ものは大人気で、こちらも値段が高騰しており、収集するのに一苦労する。なお、国芳の猫は日本が一番人気である。
刺青や春画も国内外で根強い人気があり、熱心なコレクターがいる。しかも、数万円から数十万円の範囲内で有名作品が販売されており、収集のターゲットとしては狙い目である。さらには、作品数も多いので、0から開始しても、それなりのコレクションを構築することが可能である。
収集開始後、希望する作品に右から左に次々と出会うことができるわけではなく、忍耐が必要である。1-2年という時間軸ではなく、5-10年は覚悟する必要がある。
また、最初の1-2年間は、購入ペースを抑え、市場を眺めることを主とする。相場感を身にけたならば、高値掴みを避けることができるようになる。なお、5-10年に一度でるかどうかという作品の場合は、ある程度の無理は仕方がない。
お目当ての作品が、出品/販売される頻度・価格は、浮世絵価格データベースを検索することで、大凡の目安が得られる。
収集の切り口の例を、以下に示す。
特定の絵師のみを収集する
戯画
幽霊
猫
その他の動物(象、猪、鯉、鶏、犬…)
美人画
子供絵
大阪絵
横浜絵
開花絵
長崎絵
戦争絵
おもちゃ絵
大津絵
大首絵
相撲絵
役者絵
刺青絵
相撲絵
風景画(例、自分の住んでいる地域)
医学絵(例:はしか)
有掛絵
寄せ絵
影絵
春画
鯰絵