浮世絵の買い手
作家の作品を一手に引き受けて販売するギャラリーが一次市場と呼ばれる。コレクターが過去に購入した作品を販売する場合は、二次市場での販売となる。
上記の定義を踏まえるならば、浮世絵の場合は、少数の存命の作家(例:弦屋光溪氏)を除いて、基本的には二次市場のみである。
二次市場を構成するプレイヤーとして、買取専門店、一般古美術店、浮世絵専門店、オークション(ヤフオクを含む)などがある。
委託販売
一番高額での売却が見込まれるのは、委託販売形式である。その際の手数料は、代理出品や代理販売をする業者により異なるが、一桁後半から30%超までばらつきがある。高額(百万円以上)での売却が期待される作品は、手数料率は低くなる。
浮世絵専門店による買取
浮世絵専門店での買取りは千差万別で、正当な評価をする店がある一方で、市場価値とは全く無関係に極端な安価を提示する店も多数存在する。例えば、店頭販売価格百万円の作品であっても、初回の提示買取価格は五千円から始まることは珍しくない。そのような店に限って、「昨今の美術品市場の状況を鑑みて…」と講釈をする。このような店が現実に存在するため、騙されないように、知識を身につけなければならない。浮世絵専門店の買取価格は、どれほど高くても販売価格の3割以下である。
一般古美術店及び買取専門店
高額買取は期待できない。これらの店は浮世絵を高額で販売する力がないため(富裕層の浮世絵コレクターの顧客を持っていない)、オークション等に出品してさばく。インターネットで最も宣伝しているのは、この手の店だが、原則避けるべきである。
国内オークションへの出品
ヤフオクやメルカリなどがある。なお、メルカリは安価なものが中心で、浮世絵の高額販売は期待出来ない。
ヤフオクで出品する場合には、ヤフオクの規約が存在し、それに従う必要がある。すなわち、作家名を表示する場合には、真作表示をすること。真作がどうか定かでない場合には、模写と記載することが義務づけられている。贋作や復刻版を常習的に多数販売している出品者は、「専門知識不足のため、真偽は画像で判断してください」「分かる方のみ入札して下さい」「自己責任で入札して下さい」「知人の預かり品の出品のため詳細不明」等と記載しているが、これらは全て、規約違反で無効である。
海外オークションへの出品
海外オークションとして有名なクリスティーズやサザビーズ、そのほか実に沢山のオークションハウスがある。しかし、個人が海外オークションに出品することは現実的にはほぼ不可能である。専門知識、英語力そして(オークションハウスでの)口座の全てが要求されるためである。日本の業者とは委託形式の契約となる。なお、eBayへの出品は、個人でも可能だが、高額品の売買は殆どされていない。
最も高額が期待される売却方法
委託形式である。委任を受けた業者は、見込み客に対するプライベートセール、オークションへの出品を行う。売却(落札)された場合には、事前に規定した手数料が差し引かれて、代金が入金される。
なお、作品の種類によってはヤフオクで自ら販売することで、手取りが極大化されることがある。